有機農業研究会
それまでの農業についての考え方はコスト低下を優先的に考え、化学肥料を多量に使い、作物の体質低下を農薬でカバーしてきました。そのため農薬の毒物が作物に蓄積し、土壊に残留し、畜産物にも転移して農薬公害となり、さらに河川や海をも汚染し、工場排水の有害物も加わって、水産物をも汚染し、食糧の危機を招きつつありました。そして安い農産物を海外より輸入し、インスタント食品など加工食品として売込む商業資本の行き方にリードされた食生活がアレルギー、ガンなどの病気の原因になるという疑問が出ていました。このような食糧の危機に対し、すでに実験的に行われていた化学肥料、農薬に頼らない健康な人づくり良法などを手がかりに、今後の農業の生きる道をさぐろうとした農学者、医師、生協指導者などによる有機農業研究会が生れました。工業優先、農業切り捨ての経済政策の下では自然環境の悪化は防げないために、農業、漁業を復権させて経済体制のバランスを回復するこ止が重要だという認識により生態学者も参加していました。公害の源に対する抵抗でもありました。自然農法による農産物はコストが高くつくために、値段の競争では従来の農業に勝つことができないために、消費者が健康や民族の将来という観点によりこの運動の意義を理解し、支持することができるかが運動の将来を左右していました。

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