銘柄格差
米の不作により出発した食管制度の下では、買入格差といっても全国一律の等級格差しかなく、配給価格も全国一律でした。過剰米時代になると、味のよい優良品種が消費者から要求され、全国一律の等級売買ではなく銘柄取引になり銘柄格差が登場してきます。その結果買入価格にもそれは反映し、量よりも質を中心とした生産へと米作も変わってくることになりました。この過剰米時代に応じて食糧庁は全国各産地の米を五段階に評価し、昭和47年4月より政府米をこの基準に従って各卸売業者に売る数量に公平を保つよう食糧事務所長に指示しました。従来の検査基準は、水分含有量、整粒程度等のみによって等級をつけ、各県の銘柄の差を入れなかったのを改めようとするものでした。このような改評が必要になったのは自主流通米や自由米が普及して銘柄による相場の差ができているのに、政府米の売却価格が銘柄に関係なく値段が決まっているので各ランクの米が卸売業者に渡る比率を同じようにしないと不公平だからでした。卸売業者から格差をつけて公平な売却を望む声が出されたからでした。しかし、これは困難な格付であり、各産地の利害に大きく響くこととなるために、評価基準が定着するのを待って、売却値段に銘柄格差をつけ、さらに政府が買入れる価格にも銘柄格差をつけ、米の品質改良と過剰米の解決に役立てようという考え方でした。

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