所得補償方式
前年度産米の生産費を細かく調査し、これに基づき全体の8割、バルクライン80%の農家所得を補償するという線で生産者米価を決める方式でした。従来のパリティ方式に代えてこの方式をとるのが妥当であると、昭和28年、米価審議会が政府に勧告しましたが、その後34年より生産者米価の決定にあたり、パリティ方式と合わせこの方式を併用しました。農業労賃を都市のどの規模の製造工業の賃金に評価するべきか、地代や資本利子をどうするかで議論がありました。
バルクラインとは一定の大きさを示す線という意味で、生産費に基づいて物価を決定する際に使われます。米の生産費についていうと、米の生産費は各農家ごとに異なっており、何ヘクタールも経営する大規模農家と数十アールの小経営農家を比べると、大経営農家の生産費は安く、逆に小経営農家の生産費は高くなります。こういった雑多な生産費を基礎として米価を決めようとする場合に、どこの生産費をとればよいか混乱してしまいます。最低の生産費を基礎とし米価を決めた場合、大部分の農家がそれでは生産費を償われなくなります。最高値で決めると暴利を得る農家も出てきます。そこで生産費の低いほうから順に高いぼうへ並ぺ、その80%のところを押えて、それを米価の基礎にすると大部分の農家の生産費をカバーすることになります。これをバルクライン80%と言っています。

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