米生産費

米生産費とは米の生産に要する諸要素の価格の合計のことで、生産費計算は資本主義的企業において可能なために、小生産者としての農家の生産物に行なうのは、一つの擬制にすぎませんでした。自給肥料のその他自給品の評価、自家労働の評価、地価や小作料をどう扱うか、利潤をどれだけ考えるかなどによって、生産費は多くも、少なくもなります。その弱点が占領軍に乗ぜられ、戦後に政府の米価決定をパリティ方式に切りかえる口実となりました。農林省の行なっている米生産費調査は昭和24年に改正したもので、従来自給品は市価に換算して評価していましたが、新しくその生産に実際に要した費用によりこれを評価する方法を採っています。
予算米価とは来年度の予算を組むにあたって政府は米をいくらで買い、いくらで売渡すという子算を立てなければならず、これが予算上の米価ということになります。ところが生産者米価や消費者米価をいくらにするが決まらない場合に、全体の予算編成に支障があるために、形のうえでは予算米価を組んでおいて、後に実際の米価を決めることがあります。これを実行米価と言います。予算米価と実行米価とには食いちがいがあるのは当然のことで、この食い違いは年度末の決算の際に処理されます。政治米価米の生産者価格は各種の加算金をできるだけ整理して合理的なものとし、消費者価格は、それに流通経費を加えたコスト米価とし、こうして米についてできる一本の価格体系を、経済米価と言います。これに対して、現在行なわれている実際の価格は、生産者には再生産の確保を、消費者には家計の安定を保証し、それによって生じる赤字を財政で負担するという考え方であって、そこに政治的理由で付加される部分があるので、改治米価と呼ばれます。

お金と農業環境

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