自主流通米制度

昭和44年産米から実施となった米の流通制度のひとつで、食糧管理制度では、政府以外のものに米の売買を認めていませんでしたが、これを改め一部の優良うるち米、酒米、もち米に限り、生産者は指定集荷業者、農協およびその系統に委託して米の指定卸売業者もしくは酒造業者などの実需者に直接売ることを認めました。つまり一部の米は政府に売らないで流通することを認めたのでした。味のよい優良米は自由価格の自主流通米に流れ、古米や低質米は従来どおり政府管理米として配給されることになりました。自主流通米の価格やその需給計画は、集荷業者、配給業者、指定実需者で自主流通協議会をつくり決めました。この制度は、生産過剰から農家販売米の全量を政府が買入れると赤字が大きくなり、食管体制が破たんを免れないための制度でした。しかしその販売先や販売量などの枠があり、攻府の管理は続くのであって、生産者が自由にだれにでも売る純然たるヤミ米、自由米と区別するため自主流通の名がつくられました。自由米とはいわゆるヤミ米のことで、農家は自家で食べる保有米以外はすべで政府に売り渡すよう食糧管理法で規定されていましたが、実際は農家は売り渡す量を減らしてヤミ値で流していました。昭和36年7月、河野農相は、食管法を改正して、農家が消費者に対して自由に米を売れるようにしようと河野構想を明らかにしましたが、制度化するまでには至りませんでした。それ以後、ヤミ値で売られる米を自由米と呼んでいました。

お金と農業環境

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