農業構造改革事業
小規模農業を大型経営とし、生産性を高め所得を増大するための事業が農業構造改善事業で農業基本法に基づき、農林省が昭和37年度から10カ年計画で実施しました。そのモデルともいうき地区を全国で72、一般地区を毎年300程度指定し、10年間に約3100地域で行なわれました。その事業は農地基盤整備、農地集団化、土地改良、農道、用排水の整備、農業近代化、大農業機械導入、畜舎、選果所設置などで、これに対して国は事業費の約半額に当たる一地区平均約9000万円の補助と低利融資を行ないました。結果的にみてこの事業は、土地基盤の整備、主産地の形成、農業技術の向上に役立ちました。その反面、経営規模の拡大という点ではほとんど見るべき成果がなく、その点では期待はずれに終わりました。農林省では改めて昭和45年度から第2次農業構造改善事業計画を発足させようとしましたが、過剰米が問題となったために総合農政に切換えることになりました。
自立経営安定農家とは農業基本法による農業構造改善の目標となる農家のことで、適正規模の農地を経営することによって、他産業の従事者と同等の所得を得ることができるものと規定され、計画ではこの種の農家を100万戸育成することが目標となっていました。そのためには経営規模の拡大が必要ですが、その前提となる零細兼業農家の離農が進まない上に地価上昇のため、計画は政府の思惑通りには進行しませんでした。

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