農村人口

終戦後農村ヘ流入した多数の人口は都市へ還流しかけましたが、都市の労働市場が狭いために、農村の潜在的過剰人口が莫大な数となり、安い賃金に甘んじて働くために、労働市場を常に圧迫していました。高度経済成長のもとで農業基本法によ一る農民離村政策が打ち出されたために、急速な人口流出が行なわれ、ことに新卒業生の農業に留まる率は非常に低いありさまでした。しかし完全な脱農の形はとらず、兼業農家が増え、いわゆる三ちゃん農業となっている地方も多くなりました。総理府の労働力調査による総就業者のうち農業就業者の割合は昭和42年に、はじめて2割を割って19.3%に下がりました。これは30年において38.8%ででしたから、年率2%に近い速度での農業就業率の滅少を示していました。アメリカの第一次産業就業率は近年では8%、ドイツ2%ではありましたが、年々の低下率はさほど大きくありませんでした。ドイツでも、9年間に8%の低下でした。日本の高度経済成長政策が性急であることを示していました。そのために様々な歪みが生じましたが、その直接の結果は特に農業生産の停滞、それに伴う農産物値上りの傾向がありました。

お金と農業環境

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