中農標準化

農家層の資本主義分解は富農と貧農とに両極分解するというのが、社会主義理論ですが、日本の農付の推移では、上下層は減じて、1、2ヘクタールの中農層が数が多くなってきたために、この理論は修正を要するという理論です。しかしこの理論は、農家の階級的範疇である富農、中農、貧農というものを、単に経営面積のみによってみていました。作物や家畜が複雑になったことと、種々な兼業が農家経済を大きく左右する今日では経営面積だけに重きを置いた農家分類では正確な法則性を見出 せません。
大都市周辺の県では、人口急増に伴う耕地の宅地化、山林の開発が急進し、放置しては大層困難な事熊となるために、県内人口が将来必要とする最低眼の耕地や山林面積をアグリミニマムとして策定しようという動きが起こっていました。例えば千葉県の如きでいわば農業防衛宣言です。農林行政がこれを基準にして開発規制をする狙いでした。将来の人口の予測、その必要とする各種農産物の総需要量と供給量の策走、その生産に必要な保護すべき耕地面積、農家戸数等を決めます。
専業農家が減り、兼業農家の増えるのは経済の急成長下では、零細な農業経営だけで他産業並みのお金や所得をあげることが困難で、結局は農業を主婦や老人に任せ、主人や長男などが動めたり出稼ぎしたりして、農外収入を得なければ他産業並みの生活ができないということになります。そうした兼業農家が年を追って、だんだん経営規模の比較的大きな階層にまで及んでいます。

お金と農業環境

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